| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-587  (Poster presentation)

中型哺乳類における侵入防止柵のFence gap利用と利用選択に与える影響【A】
Effects of Fence Gap Utilization and Selection on Intrusion Prevention Fences in Medium-Sized Mammals【A】

*中山小夏, 森本淳子(北海道大学)
*Konatsu NAKAYAMA, Junko MORIMOTO(Hokkaido Univ.)

 柵による野生動物の生息地分断の影響を緩和するため、「フェンスギャップ(柵の隙間)」の導入などの柵の透過性を高める様々な手法が検証されてきたが、知見は有蹄類に偏り、中型哺乳類を対象とした実証研究は少ない。特に国内では「侵入防止」という制限的視点が主流で、透過性を高める研究は希少である。本研究は、中型哺乳類のギャップ利用特性と、それに影響する要因を解明することを目的とした。
 
 北海道札幌市に位置する国営滝野すずらん丘陵公園には強固なヒグマの侵入防止柵が設置されている。本研究ではクマ柵のうち約5kmの範囲において特定した82個のギャップから27地点を選定し、構造的要因(面積、電気柵の地上高、傾斜、植生遮蔽度)を測定するとともに、自動撮影カメラで野生動物のフェンスギャップ利用行動を記録した。次に、GLMMによりギャップ認知後の利用成否に影響する要因を分析した。応答変数に各動画のギャップ利用の成否(利用/非利用)、説明変数に構造的要因、各種の撮影頻度、および空間自己相関を制御する固有ベクトル(MEM)を組み込み、種ごとにAIC最小のベストモデルを選定した。
 
 キタキツネ、エゾタヌキ、アライグマ、ホンドテンの4種がギャップを利用した。解析(ホンドテン除く)の結果、各種のギャップ利用に影響する要因は、キタキツネでは電気柵の地上高、傾斜の有無、及び撮影頻度、エゾタヌキでは撮影頻度、外来種アライグマでは電気柵の地上高、傾斜の有無であった。フェンスギャップを最も頻繁に利用した種はアライグマであり、断片化緩和が外来種の拡大を助長する可能性が示された。


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