| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-588  (Poster presentation)

飛砂対策を目的にした海岸砂丘復元に対する人々の態度や景観の印象評価【A】
Public attitudes toward coastal dune restoration to prevent wind-blown sand damage and public perception of its scenic value【A】

*植野晴子, 松島肇(北海道大学)
*Haruko UENO, Hajime MATSUSHIMA(Hokkaido University)

海岸砂丘は砂浜背後に発達する植物で覆われた地形で、防風・防砂など多様な機能を有する。近年、海岸砂丘はグリーンインフラとして防災・環境面の効果が示されている一方、利用・景観面の評価は不足している。一般に植物は景観選好に寄与するが、海岸砂丘は開発や海水浴場整備に伴う整地等の人為改変により衰退・消失がみられており、実際の海岸砂丘景観に対する人々の印象や態度は明らかでない。こうした意識の把握は利用と調和した海岸砂丘の復元や維持管理策を検討する上で重要である。本研究は飛砂対策として2021年に海岸砂丘の復元が開始された北海道石狩市川下海水浴場を対象に、利用者と近隣住民の①海岸砂丘景観に対する印象評価、➁属性や自然環境への関心、対象地との関わりによる印象評価の差異、③復元に対する態度・意見の解明を目的とした。2025年8月から12月にアンケート調査を行った。調査票は利用者(1名を除き地域外居住者)には現地配布、近隣住民には戸別配布した。調査票は復元前(砂丘なし)と開始後(砂丘あり)の調査地写真に対する10尺度の印象評価、自然環境への関心(砂浜環境の知識など)、対象地との関わり(利用目的など)、復元に対する態度・意見、属性で構成した。その結果、海岸砂丘景観は、利用者・近隣住民ともに復元前よりさわやかさや好ましさが向上した一方、歩行のしやすさなど利便性の評価が低下した。回答者特性による評価差は複数項目でみられ、砂浜植物の防風・防砂機能を知らない回答者は海岸砂丘景観の評価が総合的に低く、対象地への愛着が高いほど評価が高かった。約9割が復元を支持していたが、復元景観の利用や景観に懸念を持つ層は弱い肯定を示す傾向であった。以上より、海岸砂丘の復元は修景効果や高い支持を有する一方、利便性とのトレードオフや知識や愛着による評価差が確認されたことから、普及啓発や適切なゾーニングが求められるといえる。


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