| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-593 (Poster presentation)
里山ランドスケープでは、湿地の代替として機能してきた水田が人口減少・高齢化に伴う耕作放棄によって減少しており、生物多様性の劣化が懸念されている。今後も進行する人口減少・高齢化社会において生物多様性を維持・向上させていくためには、起こりうる将来像の予測と、それに基づく事前の土地利用計画が必要である。そのため本研究では、将来の土地利用変化が生物多様性に与える影響を予測し、保全に資する空間情報を提示することを目的とした。新潟県佐渡市を対象として、2023~2025年に鳥類・両生類・昆虫類の分布調査を行い、既存の土地利用データに加え、Landsat衛星画像を用いて推定された耕作放棄地分布を説明変数として、種分布モデルを構築した。両生類・昆虫類のモデリングでは、放棄地ごとの植生差を考慮するため、植生調査データも説明変数に加えた。将来予測では、4つの社会シナリオのもとで、農業生産額と既存の放棄地分布に基づいて2050年の放棄地拡大を推計し、それに伴う動物群の分布・群集・多様性を予測した。その結果、管理効率の低い谷津田の放棄によって草地が増加すると、鳥類および地表性甲虫類の種多様性は増加した。一方で、佐渡市の象徴種であるトキやヤマアカガエルの生息・繁殖適地は減少することが空間的に示され、動物群集における保全効果のシナジー・トレードオフ関係が明らかとなった。山地に自然環境、平野に人間活動が集中する景観構造ではなく、中山間地の水田が最大限維持されるシナリオが、佐渡市特有の動物相の保全においては有効であると考えられた。