| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-597 (Poster presentation)
カメラトラップは、動物を非侵襲的かつ継続的に記録できる手法として利用が拡大している。これまでのカメラトラップを用いた研究を対象としたシステマティックレビューでは、国際的な比較により、研究の空間的分布に調査地の保全上あるいは生態学上の重要性ではなく、社会的・経済的な要因が影響していることが示されてきた。日本国内におけるこれらの要因の変動は、国際的な変動よりも小さいと予想され、研究の空間的分布を規定する要因は明らかでない。本研究では、国内で実施されたカメラトラップを用いた哺乳類研究を対象としてシステマティックレビューを実施し、空間的・時間的・内容的傾向と影響する要因の把握を試みた。分析に際して、近年、人間が利用する領域と自然生態系との境界、人間と野生動物の関係の変化が顕著に変化しているとされることから、人間による土地利用、特に都市に着目した。CiNii Research(和文)、Web of Science(英文)を対象に、国内で実施されたカメラトラップによる哺乳類研究を検索し、基準を設定してスクリーニングを行った。選択された論文について、タイトルと要旨を元に行動・摂餌・季節性など13のラベルを付与した。本文から、発表年、対象種、調査地の土地分類(森林、近郊林、農地、都市など)、調査地の行政区分を抽出した。採用された和文99本、英文110本の論文の調査地は約65%が森林と近郊林であったが、都市および農地で約28%を占めた。論文数は全体に増加し続けており、2015年以降は都市を対象とした研究の比率がそれ以前よりも高い傾向が見られた。農地では獣害の調査例が多いなど、土地分類により着目されるテーマが異なっていた。これらの結果に加え、行政統計データなどとの比較を行い、社会的要因を含めて研究の時空間的変動やテーマの変遷に影響を及ぼす要因について検討する。