| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-603 (Poster presentation)
生物個体群動態や気温などの環境変数は、季節・日周期などの周期性をもち、しばしば強い自己相関を伴う。近年、長期モニタリングの進展により、長期間の時系列データに基づく長期トレンド解析が可能になってきた。こうした多変量データに対し、構造方程式モデリング(SEM)、とりわけ生態学で広く用いられる piecewise SEM は、複数要因間の因果仮説を経路として明示し、個別モデルの組み合わせとして検証できる枠組みとして有用である。一方で、周期的な自己相関を十分に考慮せずに長期トレンドやSEMの経路効果を推定すると、周期変動が係数推定に混入し、効果の解釈を誤る可能性がある。
本研究では、個体群および環境変数の長期トレンドを適切に捉えることを目的として、周期的自己相関を考慮する複数の手法を piecewise SEM の枠組みで比較・整理する。周期成分の扱いを、(A) モデル内で周期を説明変数として表現するアプローチ(季節ダミー、フーリエ項、周期スプライン等)と、(B) 前処理として周期を分離・調整するアプローチ(STL分解)に大別し、両者の概念的・実務的差異を明確化する。(A)(B)のアプローチそれぞれの解釈上の利点と注意点を議論することで、周期性をもつ生態学データに対する多変量長期トレンド推定と因果解釈の比較を提示する。