| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-604 (Poster presentation)
海岸砂丘からその背後に続く海岸林は、強風や飛砂を緩和する防風機能を担い、沿岸域の居住環境や農地の保全に重要な役割を果たしている。日本では、砂丘環境への適応性と高い防風効果からクロマツを主体とした海岸林造成が行われてきた。しかし、単相林は病害虫や自然災害に脆弱であり、マツ材線虫病による被害や維持管理コストの増大が深刻な課題となっている。このため、自然の機能を活用するグリーンインフラの観点から、広葉樹を導入した森林への転換が検討されている。しかし、砂丘地において広葉樹が形成する三次元的な林分構造や、防風機能の定量的評価については十分に行われていない。そこで本研究では、2023年8月に林野火災が発生した京都府久美浜砂丘の海岸砂丘林を対象に、火災前後の植生回復動態と防風機能の回復過程を評価した。
2025年10月に久美浜砂丘の海岸砂丘林を対象に植物相調査およびUAV測量を行った。これにより得られたオルソ画像および植生データから植生図を作成した。さらに、衛星画像を用いた植生指数により、火災後の植生回復過程を植生別に評価した。2023年8月から2026年1月までの30時期の時系列データに対し、Seasonal-Kendall検定により植生別の回復傾向を把握した。また、ALSおよびUAV-LiDAR点群データから森林構造指標を算出し、防風機能を評価した。
その結果、クロマツ林、トベラ・マサキ林、ニセアカシア林では火災により植生量が著しく減少したが、回復動態は植生によって異なっていた。特に、トベラ・マサキ林においては、有意な回復傾向が認められた。一方、防風機能の比較では、タブノキ・ヤブニッケイ・モチノキを主体とする植生が最も高い防風機能を示した。以上より、広葉樹を主体とする多様な森林は、火災による攪乱後の回復力と防風機能の両目において有意性を有する可能性が示された。