| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-613 (Poster presentation)
気候変動や人為活動により植物の分布域やフェノロジー(展葉・黄葉など)が変化している。景観を構成する植生の改変は炭素収支・水循環など多様な生態系機能へ波及する。その影響は植生タイプで異なると考えられるため,植生図/土地利用土地被覆図(LULC図)を高精度かつ更新頻度高く整備することが重要である。日本全域を覆う代表的プロダクトとして,環境省の自然環境保全基礎調査(1999–2023)に基づく植生図と,JAXAの高解像度LULC図(HRLULC-Japan)がある。前者は876凡例と詳細だが目視判読中心で作成に膨大な時間を要し,最新版でも作成期間が20年以上に及ぶため,その間の植生の変化を取りこぼす恐れがあるうえ,精度検証も十分でない。後者は衛星・地形データを用いた教師あり機械学習で更新間隔が短く利用しやすい一方,草地・落葉広葉樹林(DBF)・落葉針葉樹林(DNF)・常緑広葉樹林(EBF)・常緑針葉樹林(ENF)・竹林・湿地の7分類にとどまり,群落や樹種帯,管理対象の議論に直結しにくい。また,ENFのハイマツ群落が草地・裸地・DNFに誤分類されるなど改善の余地が残されている。そこで本研究では,全国版かつ高頻度更新可能なプロダクトを目指し,衛星・地形データと教師あり機械学習により,一部離島を除く日本全域の高解像度植生分類図を作成し,既存7分類を20分類(ハス田,落葉/常緑果樹園,茶畑,牧草地,高山草原,長草/短草草原,ササ草原,亜高山帯DBF・その他DBF,DNF,EBF,ハイマツ群落,北方ENF・亜高山帯ENF,スギ林,ヒノキ林,マツ林,マングローブ)へ拡張した。その結果,全カテゴリで約95%の精度を達成した。今後の改善点として,湿地とマツ林の過剰分類,複数カテゴリが混在する混合ピクセルの誤分類が残された。