| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-616 (Poster presentation)
野焼きは、草原を維持するために枯死植物を燃焼させる管理手法であり、広域管理において省力的であるとともに、長期的には土壌炭素の増加に寄与する可能性が指摘されている。先行研究において、野焼き後の植物バイオマス増加が土壌炭素量の増加につながることが示唆されているが、燃焼によって新たに土壌へ供給される炭の量に関する知見は限られている。本研究では、植生や植物バイオマスの異なる4つの草原において、野焼きによって新たに土壌へ加わる炭素量の違いを明らかにすることを目的とした。
調査は、茨城県、千葉県、群馬県で火入れによって草原が維持されている異なる4地点で実施した。このうち3地点はヨシが、1地点ではススキが優占していた。2025年2~4月に野焼きを実施後、50cm×50cm区画内で生成した炭を5区画ずつ採集し、乾燥重量および炭素含有率を測定した。野焼きで生成された炭の量と炭素含有率、100年後の炭素残存率から炭素貯留量を計算した。また、同年10月に地上部を刈り取り、乾燥重量を植物バイオマスとして評価した。
この結果、野焼きによって生成される炭量は、植物バイオマス量や立地条件、燃焼時の環境条件に影響を受けることが示された。ヨシの草原では、植物のバイオマスと炭の乾燥重量には正比例する傾向が認められた。炭の炭素含有率は約2~3割であり、植物残渣や微粒炭を含む可能性が示唆された。また、野焼きにより1ヘクタールあたり最大で約1 tのCO2を貯留する効果があり、草原における炭素循環に寄与していると考えられた。ただし、野焼きで生成される炭の量や炭素含有率は燃焼条件により変動する可能性があり、今後さらなる検討が必要である。