| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-622 (Poster presentation)
バイオ炭の活用は炭素隔離の観点から、地球温暖化対策の一環として注目されている。しかし、資材調達から炭化工程まで含めたライフサイクルアセスメント(LCA)により炭素収支を定量的に評価した研究は限られている。本研究では、里地里山林の林床管理で問題となるアズマネザサに着目し、そのバイオ炭化に伴う炭素収支をLCAにより評価するとともに、地域資源を活用した炭素隔離技術としての有効性を検証した。
調査は東京都町田市玉川学園キャンパス内の緑地で実施した。アズマネザサが繁茂する複数地点においてコドラート調査を行い、地上部バイオマスを推定した。得られたバイオマスを用いて、開放型及び閉鎖型の簡易式炭化炉により炭化を行い、乾重収炭率及び炭素含有率を測定した。さらに、集材・前処理・炭化工程をシステム境界としたLCAを適用し、各工程における排出炭素量と炭化による隔離炭素量を算定した。
アズマネザサの推定地上部バイオマスは地点間で差がみられ、繁茂の著しい区では22.25 t D.W./ha、全区平均では8.89 t D.W./haであった。乾重収炭率は開放型9.0%、閉鎖型24.1%であり、閉鎖型が高かった。一方、炭素含有率は開放型75.9%、閉鎖型65.9%であったが、収炭率の差が大きかったため、最終的な炭化率は開放型14.5%、閉鎖型35.5%となり、閉鎖型で高い値を示した。
これらからLCAにより炭素収支を評価したところ、集材・前処理に伴う炭素排出量は、閉鎖型よりも開放型の方がやや高かった。しかし、炭化行程では閉鎖型よりも開放型の方が高たかく、ともに集材・前処理の行程で発生する量を大きく上回った。
以上より、アズマネザサはバイオ炭原料として十分な潜在量を有し、炭化方式の選択が炭素隔離効果を大きく左右することが明らかとなった。地域資源の適切な活用により、里地里山管理と炭素隔離を両立できる可能性が示された。