| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-623  (Poster presentation)

休耕地におけるケナフを用いた炭素隔離法の検討 〜普及に向けて〜【A】
Carbon Sequestration Using Kenaf in Fallow Fields: Toward widespread adoption【A】

*長谷川晴香, 関優斗, 友常満利(玉川大・農・環境農)
*Seika HASEGAWA, Yuto SEKI, Mitsutoshi TOMOTSUNE(Tamagawa Univ., Agri-Env.)

地球温暖化対策の一つとして二酸化炭素の隔離法の確立が求められる中、高い炭素吸収能力を有する繊維植物ケナフとバイオ炭の活用が注目されている。本研究では、休耕地におけるケナフを用いた炭素隔離手法の提案を目的とし、①栽培による炭素隔離量の推定、②帰化の可能性の検証、③周辺生物相の評価の3つの実験を行った。

炭素隔離量の評価では、バイオ炭散布の有無および栽植密度を変えてケナフを栽培し、植物体に固定された炭素量と施用したバイオ炭による炭素貯留量の合計から評価した。帰化の可能性の検証では、雑草との競争を想定し、照度を操作した出芽・生存実験を行った。周辺生物相の評価では、ケナフ栽培区と周辺の雑草区で節足動物の捕獲調査を行い、個体の同定および種組成を比較した。

その結果、圃場における炭素隔離量は、バイオ炭非散布のケナフ栽培区で7.34 t D.W./ha、雑草区で8.18 t D.W./haとほぼ同程度であった。一方、バイオ炭散布区では14.6 t D.W./haとなり、非散布区の約2倍を示した。このことから、ケナフ栽培は少なくとも雑草群落と同程度の炭素隔離機能を有し、さらにバイオ炭併用によりその機能が向上する可能性が示唆された。

帰化実験では、出芽率は照度の低下に伴い減少する傾向を示した。一方、生存率は照度条件にかかわらず時間とともに低下したが、光制限を設けていない区では雑草との競争により顕著な減少が見られた。これらの結果から、ケナフ種子は被陰耐性が低く、雑草との競走にも強くないことが示唆され、自然条件下で帰化する可能性は低いと考えられた。

周辺生物相の評価では、ケナフ栽培区でチュウゴクアミガサハゴロモが特異的に多く確認された。本種が分布拡大過程で偶発的に確認されたのか、あるいはケナフが誘引要因となっているのかは現時点では不明であるが、今後の栽培では発生動向を注視し、必要に応じて対策を講じる必要があると考えられる。


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