| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-004 (Poster presentation)
外来生物は生物多様性の喪失における主要因の一つであり,経済・社会・人間の健康・文化等にも深刻な影響を及ぼす.グローバル化に伴い外来生物の侵入数は増加傾向にあり,侵入防止と侵入後の防除施策の強化が求められる.しかし,外来生物の侵入動態は単一要因で説明できない.土地改変等の人為的攪乱を含む環境要因や,貿易等の経済要因,侵入の検出及び防除に関与する規範や知的・財政的資源等の社会要因が複雑に関係している.これらの要因と相対的な重要性は,時間的にも空間的にも変化するため,包括的な理解が必要である.
日本では,外来生物における侵入動態の複雑性をふまえた,分類群横断的かつ地域横断的な侵入への理解が不足している.また,外来生物による全国的な影響や防除の実態についても,十分に把握できていない.本研究は,分類群及び地域横断的に,侵略性の高い外来生物の侵入・影響・防除の実態及びその駆動要因を明らかにする.これにより,市区町村単位での外来生物の効果的な侵入防止及び防除の推進に寄与することを目指す.
「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」の国外由来かつ定着段階にある種のうち,植物・魚類・鳥類・特定外来生物について,全国的な分布情報を得た.文献調査により,各種の生息環境の特徴及び侵入経路について評価した.今後,これらの外来生物の侵入に関わる環境要因及び社会経済要因について,市区町村別に分析を進める.また,文献調査により,各種の生態系及び「自然がもたらすもの(NCP)」への影響を評価する.侵略性が高いいくつかの外来生物について,全国の市区町村を対象に,影響の詳細な実態や防除の実施状況とその成果に関する調査を実施する予定である.以上を通じて,市区町村における外来生物の侵入リスク評価ならびに防除の成功要因の解明を目指す.