| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-005  (Poster presentation)

受動音響モニタリングによる分布拡大中の外来カエル類の早期自動検出に関する実証研究
An Empirical Study on the Automated Early Detection of an Expanding Invasive Frog Species by Passive Acoustic Monitoring

*澤田聖人(筑波大学), 小畑理桜(筑波大学), Paul DIPANJYOTI(University of Tsukuba, The Ohio State University, IIEST Shibpur)
*Kiyoto SAWADA(University of Tsukuba), Rio OBATA(University of Tsukuba), Paul DIPANJYOTI(University of Tsukuba, The Ohio State University, IIEST Shibpur)

外来種による在来生態系への影響を最小限に抑え、かつその駆除を実現させるためには、侵入から間もない外来種を早期に発見することが最重要である。他方、侵入初期個体群は個体数が少ないうえに在来生態系への影響も顕在化しづらいことからその発見は困難を極める。このような課題を解決するために、終日かつ長期的にデータが取得できる自動撮影カメラや受動音響モニタリングが取り入れられ、近年では、得られた膨大なデータから人工知能(AI)を用いて外来種を自動検出する技術が発展してきた。しかしながら、自然界における侵入初期個体群を対象とした実証研究はほとんどない。そこで本研究では、茨城県において分布拡大中の国内外来種ヌマガエルFejervarya kawamuraiを対象として、受動音響モニタリング×AIによる外来種の早期自動検出の有効性を評価することを目的とした。具体的には、2024年6月時点のヌマガエル侵入地域から未侵入地域にそれぞれ6機の受動音声録音装置を2025年5月から9月にかけて設置し、Transformersモデルを用いて得られた音声データに含まれるヌマガエルの鳴き声の自動検出を試みた。加えて、現地調査によるヌマガエルの分布拡大調査も同時期に行った。モデルに使用する学習データ(train data=80%; validation data=20%)にはヌマガエルの鳴き声(n=510)に加え、調査地に分布するヒガシニホンアマガエル(n=671)とトウキョウダルマガエル(n=243)、シュレーゲルアオガエル(n=138)、ムカシツチガエル(n=36)、ニホンアカガエル(n=8)の鳴き声を含めた。その結果、正解率83.6%のモデルが得られ、2024年時点でヌマガエルが侵入していた地点に加え、未侵入であった地点でもヌマガエルが検出され、それら結果は2025年に実施した現地調査のものとおおむね一致していた。以上より、受動音響モニタリング×AIによる外来種の早期自動検出は実際に分布拡大途中にある野生個体群に有効であることが本研究により示された。


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