| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-006 (Poster presentation)
サンジャクUrocissa erythrorynchaは中国からヒマラヤ、インドシナ半島を原産地とするカラス科の鳥類である。日本では2000年以降、四国南西部の森林や農耕地に侵入・定着している。本種は主に肉食の雑食性で、昆虫などの小動物、果物、鳥の卵やひななどを捕食することから、在来の小型鳥類や希少種への影響が危惧されている。また、農作物への被害の可能性も指摘されている。高知県では2020年にサンジャクを「高知県で注意すべき外来種リスト」の「防除対策外来種」に、愛媛県では2021年に「侵略的外来生物」に位置付けている。しかし、サンジャクは警戒心が強く、生態学的な知見の蓄積が少なく、具体的な対策はあまり進んでいない。
本研究では、分布拡大の現状と、聞き取り調査により得られたサンジャクの捕獲事例について報告する。近年、サンジャクの四国南西部の分布域は拡大傾向にあり、室戸岬や佐田岬での観察例も報告されていることから、今後は近畿地方、中国地方、九州東部への侵入も懸念される。高知県では、タヌキやハクビシンによる農業被害が多く、多くの農家が箱わなを設置している。サンジャクは、野菜や果実の食害がみられた畑や民家周辺に設置された箱わなで捕獲されていた。捕獲場所は標高50〜520mで、落葉広葉樹林、植林、常緑広葉樹、竹林、田畑が混在する里山であった。餌には果実や肉・魚類が用いられ、捕獲時期は食物が不足する秋から春先に集中していた。これらの事例は、密度が高くない分布拡大中の外来種を捕獲できる貴重な情報を提供し、今後の広域的な外来種管理に活用できる可能性がある。