| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-007 (Poster presentation)
土地利用の変化や気候変動などの要因に基づき生物多様性の将来像を予測し、リスクに対処することはネイチャーポジティブ実現における重要課題のひとつである。それら要因と並んで、外来生物は生物多様性に対する主要な脅威の一つであるが、その侵入は確率的事象であることに加え、在来生物に及ぼす影響も予測困難である。そのため、外来生物は生物多様性の将来予測の不確実性を高める要因となっている。本研究では、外来生物の初期侵入リスクが高い都市域を抱える大阪府において魚類相調査データを集積することで、主要な外来魚の分布拡大の時空間的パターン、侵入後の時間経過に伴う個体数変化と在来魚類へのリスクの解明を目的とした。
環境アセスメント報告や学術論文など259文献から1965年以降に大阪府で実施された魚類採捕のデータ約95万尾を収集し、デジタルデータ化を行った。データを調査年月日に基づき10年ごとに6つの期間に区分し、可能な限り採捕手法、地点、調査日ごとに細分化した群集データとして扱った。なお、今回は3種以上が記録され、かつ個体数の記載があるレコードを対象とし、国内外来種も含めた外来生物の採捕数を集計した。
データ化の結果、オオクチバス、ブルーギル、バラタナゴ属(タイリクバラタナゴ)、カダヤシ等が記録数上位を占めた。収集された群集データのうち、約2600群集に外来生物が含まれていた。外来生物が記録された河川の割合を時系列で見ると、1970年前後には全体の約1/3(12河川中4河川)に留まり、その分布は大和川や淀川といった都市域を流れる大河川に集中していた。しかし、1980年前後以降は約半数の河川で記録されるようになり、2010年以降には約2/3(直近では59河川中37河川)にまで拡大したことが明らかとなった。発表では、これらのデータを用い、外来生物の個体数増加や蔓延状況のモデル化の試みや、外来魚種間の在来魚への影響の大きさの違いについて解析した結果を報告する。