| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-008 (Poster presentation)
生物が意図的・非意図的に自然分布域外に導入され、定着・拡大する生物学的侵入は、生物多様性減少の主要因のひとつとされている。なかでも、外来水生植物は生態系の構造を大きく改変することから、特に管理を強化すべき対象となっており、多くの種が特定外来生物に選定されている。そのひとつである南米原産のナガエツルノゲイトウ Alternanthera philoxeroides(ヒユ科)は、陸域・水域の双方で生育可能であり、高密度・広範囲に被覆することで生態系のみならず、通水や利水にも深刻な被害をもたらす多年生の抽水植物である。本種は、数cmの茎や根の断片からでも再生可能であり、また拡散力も高いことから、日本各地で急速に分布を拡大している。現時点で、本種の防除は抜き取りや遮光といった物理的防除が中心である。しかし、多大な労力やコストを要するにも関わらず、完全な駆除には至っていない。したがって、物理的防除だけでなく、その他の防除手段、たとえば化学的防除などの有効性についても評価する必要がある。なおその際、防除対象種の生態や特徴を十分に考慮した対策が不可欠である。日本に侵入したナガエツルノゲイトウは、複数の遺伝系統が存在することが知られている。既往研究で、有害生物防除にあたり、遺伝的特性の考慮が重要であるとの指摘がある。その場合、本種においても薬剤に対する感受性が遺伝系統間で異なる可能性は否定できない。そこで本研究では、日本に侵入しているナガエツルノゲイトウ3系統(千葉県、滋賀県、佐賀県)の個体を用いて、一般的に流通している除草剤グリホサートに対する薬効を評価した。
各系統から複数の株を採集し、節を含む3 cmの断片について、グリホサート剤を添加した蒸留水中(0.03-9 ppm、公比約3)で1か月間培養し、展葉および枯死の有無を記録した。本発表では、本剤に対する感受性の系統間の違いについて報告し、化学的防除の有効性、ならびに防除指針案について議論する。