| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-014 (Poster presentation)
2022年のCOP15において採択された生物多様性の世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組(以下KMGBF)では、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全すること(以下30by30目標)が盛り込まれた。日本では30by30目標の達成のために、国の取組を推進することに加え、民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を拡大し、目標を達成することを目指している。2023年度からは、民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を自然共生サイトとして認定する取り組みを開始し、2024年度までに328件が登録された。
一方で、生物多様性及び生態系の健全性を維持するためには、生息地面積を増やすだけでなく生息地間の空間的連続性を維持することが重要である。KMGBFにおいても30by30目標の目的の一つとして生態系の連続性の向上が位置付けられており、日本の生物多様性国家戦略でも、効果的な保護地域・OECMの設定における目的として挙げられている。
日本の湿地生態系と草地生態系は、高度経済成長期を境に面積の減少や質の劣化が進んでおり危機的状況である。すでに保全されている一部地域を除けば、大規模な湿地及び草地生態系の創出や保全は難しく、生態学的連続性の観点から現状を評価することが重要である。本研究ではハビタットの面積及び位置関係と生物の移動距離から空間的に連続した面積を算出するEquivalent Connected Area(以下:ECA)という手法を用いて分断化された湿地及び草地生態系における連続性を評価した。
富山県を例として、5kmメッシュ単位でのECAと総生息地面積等との関係性を分析した結果、湿地生態系における移動距離を1kmとした場合では空間的連続性を考慮して複数の小規模なハビタットを配置することで、一定程度、大規模なハビタットの代替として健全性を維持できる可能性が示唆された。本発表では草地生態系の分析結果や、移動距離等を変えた場合の結果についても議論する。