| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-015  (Poster presentation)

水田地帯に生息する生物を指標とした種分布モデルによる全国スケールの生物多様性評価
Nationwide biodiversity assessment using species distribution models of indicator species in rice paddy landscapes

*中西康介(国立環境研究所), 石濱史子(国立環境研究所), 深澤圭太(国立環境研究所), 丹野夕輝(国立環境研究所), 山野博哉(東京大学, 国立環境研究所)
*Kosuke NAKANISHI(NIES), Fumiko ISHIHAMA(NIES), Keita FUKASAWA(NIES), Yuki TANNO(NIES), Hiroya YAMANO(Univ. of Tokyo, NIES)

 水田を中心とした農地生態系は、国内の生物多様性を支える主要な生息環境としても重要である。しかし、かつて普通種として広くみられた生物の中にも、近年個体数が減少し、絶滅危惧種となった種が少なくない。本研究では、水田地帯に生息する多様な分類群を対象に、全国スケールで種分布推定モデルを構築し、生息適地と環境条件との関連を明らかにすることを目的とした。
 解析には、環境省第5回自然環境保全基礎調査(1991–2000年)のデータを用い、貝類、昆虫類、魚類、両生類、爬虫類の計27種の3次メッシュ単位の在情報を抽出した。環境変数とし、気候要因(年平均気温、最高・最低気温、夏期・冬期の降水量)、土地利用(水田、その他農用地、森林、荒地、建物用地、河川・湖沼)、ため池密度、圃場整備率を使用した。これらのデータから、Maxent(Maximum Entropy Model)により、種ごとに分布推定モデルを構築した。
 モデル評価指標であるCBIおよびAUCの値は概ね高い値を示し、多くの種で良好な予測性能が確認された。全種を通じて出現確率に最も大きく寄与した環境要因は平均気温、森林面積、水田面積、最低気温の順であった。とくに、マルタニシ、メダカ類、ニホンアマガエル類などにおいて水田面積の正の寄与が大きく、水田環境の維持がこれらの生息適地の確保に重要であることが示唆された。今後は、本研究で構築したモデルを用いて、将来の気候・土地利用シナリオに基づく生物多様性の変動予測へ展開する予定である。


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