| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-021 (Poster presentation)
近年、再生可能エネルギーの需要が高まる一方で、生物多様性に対する影響が指摘されるようになった。特に、太陽光発電施設は大規模な土地改変を伴うことから生物への影響が大きいとされている。一方で、適切な植生管理を実施することができれば、地域の生態系への影響を最低限に抑えることが可能になると考えられる。一般的に、太陽光発電所においてはパネル周辺を裸地状態に管理することにより、発電効率を担保し、メンテナンス費用を抑えている。しかし、ある程度の植生を保ったままの管理が可能であれば周辺生態系に与える影響の小さな発電施設の運営が可能になるかもしれない。そこで本研究では、太陽光発電施設内において異なる植生管理が動物相に与える影響を包括的に捉えることを目的とした。国内の2か所の太陽光発電施設において、軽い草刈り、強い草刈り、裸地(土壌分解型除草剤の散布)、の3通りの植生管理を実施し、それぞれの区画内を利用する動物の種類を調査した。ピットフォールトラップにより昆虫相を、カメラトラップにより哺乳類相を、ポイントセンサス調査により鳥類相の検出を試みた。その結果、哺乳類相や鳥類相の違いは本研究のスケールではうまく検出できなかった一方で、適切な植生管理の下では昆虫相が多様になることが示された。今後は得られた昆虫相の機能的な意義を明らかとしつつ、管理コストや植生管理が発電施設に及ぼす影響とのバランスを鑑みながら、太陽光発電施設における生物多様性保全策を構築することが必要とされる。