| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-022 (Poster presentation)
滋賀県琵琶湖の南湖周辺は、県内でも都市化が進んでおり、カヤネズミMicromys minutusの生息地となる草地面積の減少が著しいエリアである。本種はイネ科などの草本で巣を作り繁殖をするため、草地の消失は個体群維持に直接的な影響を及ぼし、現在33の都府県のレッドリストに何らかの形で掲載されている(滋賀県では希少種、近隣の京都府・岐阜県では準絶滅危惧)。
南湖エリアでは数少ない本種が生息する大規模な草地、約9haの遊休地に複合施設が開発されることとなり、2027年度から工事着手予定である。発表者は対象エリアにおいて2011年から営巣調査を行っている。毎年本種の繁殖期(10~11月)にはイベント利用による草刈りが実施されていたため、2016年からは保全的管理として繁殖期における部分的な草刈りと段階的な草刈りについてのアドバイスを行ってきており、一定の個体群は維持されてきた。
2025年6月、8月、11月、2月に、営巣調査に加えてドローンによる撮影を行い、WebODMを用いて草地面積の時間的変遷を算出した。その結果、対象地の草地面積の最大値は2025年8月の5.42haで、最小値は2026年2月の1.48haであった。また草地のパッチ数は6月と2月が3、8月と11月が4であった。パッチ数に関しては、歩道や10m以上の分断を別のパッチとして集計した。
今回の開発にあたり、本種の保全のためのミティゲーション措置として軽減または代償措置が必要であった。そこで関係各所と協議を行い、代償措置として対象エリア内の個体群移動を行う予定である。本発表では2026年度に実施予定の具体的な保全策について示し、その可能性について議論する。