| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-024 (Poster presentation)
ツルマンリョウは中国、台湾、日本に分布するサクラソウ科の匍匐性低木で、日本では沖縄、屋久島、山口、広島、奈良のみに小さな集団が隔離分布する珍しい植物である。市民団体の調査により、奈良県の自生地の一つで近年結実が見られなくなっていることが報告されている。遺伝的多様性の低下は、近交弱勢によって個体群の遺伝的な劣化につながる恐れがあり、当該ツルマンリョウ集団は隔離された小集団であることから、これが起きた可能性がある。しかし、ツルマンリョウについて遺伝的多様性を調べた研究例は限られており、実態は不明であった。そこで本研究では、奈良県の3つのツルマンリョウ集団(吉野町の妹山樹叢、山口神社と宇陀市の御井神社)で2023年と2024年に個体群の構造、繁殖状況、遺伝的多様性を調べた。妹山樹叢、山口神社の個体群は種子繁殖によって個体群を維持していたのに対し、御井神社の個体群はメス個体が存在せず、オス個体の栄養繁殖によって個体群を維持している可能性が示唆された。また、妹山樹叢、山口神社集団に比べて御井神社の集団は遺伝的多様性が極めて低く栄養生殖によって集団が維持されていることを支持した。