| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-030  (Poster presentation)

コンテナビオトープを活用した小型水生昆虫の分布予測
Modeling the distribution of small aquatic insects using container biotopes

*松澤優樹, 森照貴(自然共生研究センター)
*Yuki MATSUZAWA, Terutaka MORI(ARRC)

流域総合水管理を進める中で、生態系ネットワークを考慮した自然環境の保全や創出が求められている。流域規模における生物の分布情報、特に水生昆虫類の情報は限定的であり、移動分散経路も不明な場合が多い。そのため、希少種を多く含む水生昆虫を対象とした生態系ネットワークの形成や保全において、重要となる場所を特定することは不可欠である。本研究では、コンテナボックスを用いて作成した簡易ビオトープ(コンテナビオトープ)に飛来する水生昆虫を調査することで、広域に水生昆虫の生息状況を簡易的に予測できるか試みた。調査は愛知県、岐阜県、三重県において、19地点のコンテナビオトープと任意に設定した30地点の水田を対象に水生昆虫(トンボ目、コウチュウ目、カメムシ目)の採捕調査を実施した。解析ではコンテナビオトープから採集した水生昆虫の属数を応答変数、コンテナビオトープ周辺の環境要因を説明変数としてモデルを構築し、30地点の水田に出現する水生昆虫の属数を予測した。モデル構築にはランダムフォレストを用いて、RMSEの値によりモデルを評価した。水生昆虫の採捕調査では、コンテナビオトープにおいて1地点あたり最大11属、最少1属、水田において1地点あたり最大14属、最少1属の水生昆虫が出現した。コンテナビオトープから得られたデータからモデル構築した場合、RMSEの値は3.8となりNullモデル(4.0)よりわずかに低かった。このことから、コンテナビオトープに飛来する昆虫相と周辺環境要因から広域に水生昆虫の生息状況を予測できる可能性が示唆された。ただし、RMSEの値は比較的高く、Nullモデルとの差もわずかであったことから、今後、説明変数を改善することに加えて、データ数を充実させることが必要だろう。


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