| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-034  (Poster presentation)

Psychological Drivers of Hunting: Implications for Designing Support Measures

*Kota MAMENO(Hokkaido University), Takaaki SUZUKI(Gifu University), Akito MINOWA(Gifu prefecture)

人間と野生生物との軋轢は、我が国における生物多様性保全、公衆衛生の維持および地域経済の持続的発展に関わる重要な課題である。近年は、気候変動や人口減少に伴う人間活動の縮小により、とくに地方部において問題が深刻化している。軋轢緩和に向けて有害鳥獣の捕獲が実施されており、その担い手とされている狩猟者は鳥獣管理において中核的な役割を果たしている。しかし、狩猟者の高齢化が進む中、持続的な鳥獣管理体制の維持は大きな課題となっている。
以上の背景を踏まえ、本研究では狩猟者の心理的動機に着目し,狩猟行動を支える要因の相対的重要性を明らかにすることを目的とする。さらに、得られた知見に基づき将来の支援施策設計に向けた示唆を提示する。
本研究では、岐阜県内の狩猟者を対象にBest Worst Scalingを適用したアンケート調査を実施し、狩猟に関わる複数の目的や価値について把握した。分析の結果、農業被害の軽減が最も高い重要度を示し、狩猟者の動機として突出して重視されていることが明らかとなった。一方、収益は負のスコアを示し、経済的利益は狩猟における主要な動機でないことが示唆された。また、楽しさも相対的に低い評価となり、狩猟を娯楽として捉える意識は限定的であることが確認された。技術継承はわずかながら正の評価を示しており、狩猟技術や知識を次世代に伝える責任感や使命感が一定程度存在することがうかがえる。
これらの結果は、狩猟者の心理的動機が被害対策という社会的役割と密接に結びついていることを示しており、収益獲得や食料調達、娯楽性といった従来の狩猟動機からの認識の転換が進んでいる可能性を示唆している。さらに、本研究は収益性の向上を主とした経済支援のみでは十分でないことが示された。本研究は、狩猟者の価値観と心理的背景を踏まえた、より実態に即した支援施策や野生動物管理政策の設計に資する知見を提供する。


日本生態学会