| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-038  (Poster presentation)

異なる環境に生育するコセンダングサの形態および資源分配様式の比較
Comparison of morphological traits and resource allocation patterns in Bidens pilosa across contrasting environments

*柴政幸(東京都市大学大学院), 遠藤宇称(東京都立大学大学院, 東京都市大学大学院), 福田達哉(東京都市大学大学院)
*Masayuki SHIBA(Tokyo City Univ.), Uta ENDO(Tokyo Met. Univ., Tokyo City Univ.), Tatsuya FUKUDA(Tokyo City Univ.)

世界的な侵略的外来種である一年草のキク科コセンダングサ(Bidens pilosa)は、本来、都市など人為的影響を受ける内陸環境に分布を広げているが、近年日本の海岸地への侵入が確認されている。海岸地は慢性的な強風や乾燥、高濃度の塩分、砂移動など複合的な環境ストレスを受ける特殊環境であり、侵入には形態的・生理的調整が必要と考えられる。本研究では、千葉県鋸南町の海岸地集団と東京都多摩川河川敷の内陸集団を比較し、形態特性および器官別資源配分様式を解析した。その結果、茎基部直径と茎長の関係には有意差は認められなかったものの、海岸地集団では葉数が少なく、葉面積は有意に大きかった。一方、茎および葉への資源量には有意差はなく、葉の形態的差異は同量の資源から生じていることが示された。また、海岸地集団では根の資源量が有意に高く、地上部(茎・葉・花序)/地下部(根)の資源分配比は有意に低下していた。さらに、花序への投資は有意に減少し、根と花序の資源量の関係は内陸集団で正の相関を示したのに対し、海岸地集団では相関が認められなかった。これらの結果は、海岸地集団が風圧に応じて葉数を減少させつつ、葉の大型化により飛砂捕捉や保水、定着安定化を図り、さらに根系への投資を高め繁殖投資を抑制することで、不安定な砂質土壌および乾燥環境への定着を可能にしていることを示唆する。本種の侵入成功には高い繁殖力に加え、各器官への資源配分の可塑的変化が重要であり、世界的に分布を拡大するコセンダングサ複合体も同様の形質により各地の海岸地へ侵入している可能性が示された。


日本生態学会