| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-048 (Poster presentation)
太平洋戦争末期の1945年4月に始まった沖縄戦は苛烈な地上戦で知られるが、戦地の米軍兵らは作戦の一環として、あるいは任務外の時間に様々な動植物標本を採集し、本国に持ち帰っていたことがわかっている。このような標本はアメリカ国内の複数の博物館に寄贈・収蔵されており、例えばスミソニアン国立自然史博物館では少なくとも植物1000点、魚類190点、哺乳類220点、昆虫300点、その他無脊椎動物320点程度の標本が確認できる。これらには次の2つの特徴が挙げられる:(1)大半の標本は沖縄戦の作戦用に米軍が作成した2万5千分の1地形図(沖縄戦戦術地図)をもとに採集地を記録したとみられ、標本ラベルに記された地名と地形図を突き合わせることで採集地点を正確に特定できる;(2)基地建設や開発が行われる前の沖縄島や周辺島で採集されたものであり、現在ではその地域で失われた環境で採集されたものや、絶滅種の標本も含まれている。つまり、当時の沖縄諸島の生物相や自然環境などを復元推定するうえで非常に有用な資料である。発表ではいくつかの標本記録の例のほか、標本画像がオンラインで閲覧可能な博物館の情報や、沖縄戦戦術地図の地名の検索方法について紹介する。