| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-050  (Poster presentation)

特定外来生物ナガエツルノゲイトウの侵入初期における生態的影響プロセスの解明
Ecological impacts of invasive Alternanthera philoxeroides on aquatic and terrestrial plant communities immediately after invasion

渡邉秀哉(近畿大・農), *平岩将良(近畿大・農), 西田拓翔(近畿大・院・農), 早坂大亮(近畿大・農)
Shuya WATANABE(Fac. Agric., KINDAI Univ.), *Masayoshi HIRAIWA(Fac. Agric., KINDAI Univ.), Takuto NISHIDA(Grad. Sch. Agric., KINDAI Univ), Daisuke HAYASAKA(Fac. Agric., KINDAI Univ.)

生物学的侵入は、生物多様性減少の主要因のひとつである。特に、外来水生植物は生態系構造を大きく改変することから重要な管理対象となっており、多くの種が特定外来生物に選定されている。なかでも、南米原産のナガエツルノゲイトウAlternanthera philoxeroides(ヒユ科)は、陸域・水域を問わず生育可能な多年生の抽水植物であり、旺盛な繁茂により生態系被害のみならず、人間生活(通水機能や利水)にも深刻な影響をもたらす。本種は、数cmの断片からでも再生が可能であり、他の特定外来水生植物と比較しても分布範囲が広い。そのため、本種の根絶は喫緊の課題である。しかし、本種をはじめとする外来植物の生態リスク評価は、侵入から一定期間が経過し、高密度に繁茂した段階における被覆を介した影響評価に偏っており、侵入リスク評価で最も重要とされる「侵入直後」の生態影響プロセスは十分に解明されたとは言い難い。そこで本研究では、陸域と水域を含む植物群集を形成した実験生態系を創出し、本種の断片導入試験を通じて、侵入直後の生態影響プロセスの解明を試みた。
大型容器に農薬非汚染水田土壌を導入して陸域と水域を創出したのち、7か月かけて野生植物群集(人工生態系)を形成した。その後、両環境下にナガエツルノゲイトウの侵入区と未侵入区を設け、侵入区の中心に滋賀県琵琶湖由来の本種の断片を導入して試験を開始した。導入後の時間経過にともなう本種の生長と野生植物群集の変化を調査した。その結果、本種の生長(茎長・被度)は陸域よりも水域で有意に速かったが、導入から4か月では、植生を被覆するほどまでに生長することはなかった。また、本種の侵入によらず野生植物群集の種数や種組成のほか、水質が変化することはなかったが、侵入区の水域でのみ、野生植物群集の被度の増加が抑制された。これらの結果は、本種が侵入初期段階から、被覆以外の過程を介して在来植物に影響を与える可能性を示唆している。


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