| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-062 (Poster presentation)
葉表面の濡れ性は、降雨時の水滴挙動や葉面圏における物質交換を規定する重要な性質である。近年、葉面圏微生物の生態的役割が注目されているが、菌類が葉表面の物理的性質に及ぼす影響については十分に検討されていない。本研究では、うどんこ病菌 Erysiphe castaneigena がクリ葉の濡れ性に与える影響を明らかにすることを目的とした。葉表面に形成された水滴の接触角を指標として、感染葉と非感染葉の濡れ性を比較した結果、感染葉では非感染葉に比べて疎水性が有意に高いことが示された。また、この疎水性の増加は葉表面における菌糸被覆密度と正の相関を示し、菌糸が葉表面を広範に覆うほど疎水性が高まる傾向が認められた。これらの結果は、病原菌を含む葉面菌類が、宿主植物の生理状態のみならず、葉表面の物理的環境そのものを改変しうることを示唆している。本研究は、葉面圏における菌類の機能を「病原性」や「宿主応答」だけでなく、「表面物性の制御」という観点から捉える新たな視点を提供する。