| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-072 (Poster presentation)
気候変動下における樹木の成長応答は樹種ごとに異なる。本研究では、モニタリングサイト1000の毎木調査データに含まれ30個体以上、400以上のデータポイント数を満たす88樹種を対象とし、2004年から2022年の年次データから相対成長率を推定した。ランダムスロープを含む線形混合効果モデルを用いてRGRの経年変化を推定し、その気候感受性と機能形質および生活史戦略との関係を検討した。
相対成長率の年係数は樹種間で異なり、いずれの生活史戦略(落葉広葉樹、常緑広葉樹、常緑針葉樹)においても成長率が有意に増加する種と減少する種が混在していた。グループ間で割合を比較すると、常緑針葉樹、落葉広葉樹、常緑広葉樹の順に成長率が減少する種の割合は常緑針葉樹、落葉広葉樹、常緑広葉樹の順に高かった。全体平均では成長率が1年あたり0.8%減少し、成長率が最も低下した種はヤブニッケイ、最も増加した種はオオシラビソであった。
機能形質(成木樹高、LMA、木材密度、種子重、葉面積)に基づく主成分分析の結果、PC1は高成木樹高、高LMA、低材密度を代表する総合的な機能軸を示した。落葉広葉樹、常緑針葉樹ではPC1と年成長率変化の間に正の相関が見られた一方で、常緑広葉樹では負の相関が見られた。さらに、気候平年値からの偏差に対する相対成長率応答を解析した結果、気候感受性は単一形質よりも統合的な機能戦略および生活史戦略と関連することが示唆された。
この研究から気候変動下における樹木成長率の長期動態は樹木の生活史戦略と機能形質で規定される可能性が示された。