| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-075 (Poster presentation)
2025年日本生態学会で東アジア常緑広葉樹林の構成種組成による緯度的変化を検討した。台湾低地、琉球列島におけるボチョウジ-スダジイ群団および東アジアの常緑広葉樹林帯の北限付近にあたる日本関東におけるイノデ-タブノキ群集およびボルネオ島植生データを比較したところ、区分種・標徴種群の科レベルでの割合挙動が水平方向と鉛直方向に再現性高く、普遍性を持っていることが示され、この同所的出現パターン形は少なくとも東アジアで保存されていると考えられた。
この種組成の保存性の普遍性を検討するため、旧熱帯区においてはケニヤ、タンザニアにおけるアフロモンターン常緑広葉樹林について収集した植生データを、さらには中国本土および日本の九州、屋久島、中部などの植生資料を加えてデータ解析を行った。なお、植生調査は植物社会学的方法に基づいている。
その結果、中国本土と日本はヤブツバキクラスの標徴種、区分種の共通性が高く、台湾と奄美、沖縄、屋久島など日本の島嶼では群集、群団レベルで組成的結びつきが強い傾向を示した。さらに東アジアと東アフリカにおいて高木クスノキ科、亜高木Ilex属、低木ヤブコウジ科、Lasianthus属, Psychortia属といった構成樹種の区分種レベルで構造と組成が一致した形態を示していることが明らかになった。
また、温度・降水量を因子として科の組成と割合は変化するが、温量指数による暖温帯域での標徴種の科の組み合わせは不変であり、共通の属も多いことから、同質の植生が東南アジア鉛直方向、東アフリカで保存・展開していた。
これらのことを総合的に考慮すると全北区と旧熱帯区における常緑広葉樹林は相観としては似てはいるものの、種組成からはヤブツバキクラスとは呼べず、より上級単位における標徴種および区分種の科・属レベルの組成類似性、普遍性を示していると考えられる。さらには、照葉樹林の再定義の可能性が示唆される。