| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-076  (Poster presentation)

亜熱帯林の撹乱履歴が植物群集構造に及ぼす影響・複数時期航空写真の林冠三次元解析
The Effects of Disturbance History on Plant Community Structure in Subtropical Forests: 3D Canopy Analysis Using Multi-Temporal Aerial Photographs

*指村奈穂子(山梨大・土木環境工学), 内貴章世(琉球大・熱生研), 古本良(林木育種センター), 山本武能(山大リジェネセンター)
*Naoko SASHIMURA(Yamanashi Univ., Fac. of Eng.), Akiyo NAIKI(TBRC, Univ. of the Ryukyus), Ryo FURUMOTO(Forest Tree Breeding Center), Takenori YAMAMOTO(Yamagata Univ. Rural Reg. Ctr.)

台風などの撹乱は林冠構造を改変し,植物群集の組成と動態に影響を及ぼす。本研究では西表島を対象に,複数時期の航空写真と植生調査を統合し,林冠構造の変化と種組成の関係を解析した。約1kmメッシュごとに設置したベルト区で毎木調査を行い,1963年・1986年・2012年の航空写真から林冠高5クラスのパッチ面積を算出して林冠構造を定量化した。2012年の林冠構造に基づき,サンプル間の類似度の順位関係を保って低次元空間に配置する非計量多次元尺度法(NMDS)により種群との対応を検討した。その結果,谷沿いに多い種群は高林冠で小~中規模パッチがモザイク状に分布する構造と対応し,尾根部の種群は低林冠・大規模パッチ優勢の均質構造と対応した。海岸近くでは階層構造が不均質であったのに対し,島中央部では単層的で均質な構造がみられた。さらに2期間(1963→1986,1986→2012)の構造変化量の主成分分析では,PC1はパッチサイズ構造の連結化(正)/細分化(負),PC2は林冠階層の多層化(正)/単層化(負)を示した。種スコアを4象限に区分すると,多くの種で象限移動が認められ,応答は「動態」と「回復」の組み合わせとして整理された。例えばヤマモガシは動態→動態,ヤエヤマクロバイは動態→回復,リュウキュウマユミは回復→動態,サザンカは回復→回復の組み合わせに応答した。1963→1986年には人為攪乱後の回復が優勢であったのに対し,1986→2012年には自然攪乱と回復が場所ごとに反復したことが反映された可能性が高い。以上より,林冠構造の時系列的変化は種および種組成に影響していることが示された。とくに,それぞれの種が異なる撹乱体制に適応することで,場所ごとの種組成の違いが形成されていることが明らかとなった。本研究で三次元林冠構造の変動を介して,亜熱帯林における撹乱動態と群集構造の関係を統合的に示せた。


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