| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-093  (Poster presentation)

着生ランはなぜ宿主木の高所に生育するのか ―共生菌の分布に着目して―
Why do epiphytic orchids inhabit the upper parts of host trees? — Insights from mycorrhizal fungal distribution —

*Mifumi SETO(The Univ. of Tokyo, JSPS Research Fellow), Motoki HIGA(Kochi Univ.), Kento RAMMITSU(The Univ. of Tokyo)

維管束着生植物は暖温帯から熱帯湿潤地域における森林の主要構成種である。着生植物の分布規定要因を明らかにすることは、森林生態系における生物多様性の維持機構を理解する上で重要である。着生植物種の約7割を占めるラン科植物(以下、着生ラン)の中には、樹木の上部を好んで生育する種が存在する。その理由についてこれまで、これらの種の光要求性が高いためであると考えられてきた。一方、着生ランは共生する真菌類(共生菌)への栄養依存度が高く、特に種子発芽や初期生育に必要な炭素化合物は完全に依存している。そのため、着生ランが樹木の上部を好んで生育する理由として、樹木の中部から下部には共生菌が存在せず、それにより着生ランの分布が制限されている可能性が考えられる。本研究ではこの仮説を検証するため、オサランを対象として、生育位置よりも低い幹や枝において共生菌が検出されるかを検討した。調査は高知県の暖温帯天然林で実施した。まず、オサランの共生菌相を明らかにするため、オサランの根を採集し、菌根から取り出したペロトンからDNAを抽出した。菌類ユニバーサルプライマーおよびツラスネラ特異的プライマー2種を用いて、共生菌相を分子同定した。次に、オサランの生育位置よりも低い幹および枝における共生菌の存否を明らかにするため、オサラン着生木4本を対象に、3か所(オサラン固着位置、その位置から1 m下方および3 m下方)の樹皮表面で塗装用ローラーを転がし、ローラーから抽出したDNAを上記と同様のプライマーを用いて分析した。解析結果はポスターにて報告する。


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