| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-094  (Poster presentation)

WI傾度上で個々の植物種はどのように分布するか
Plant Species Distribution Along the WI Gradient

*森廣信子(多摩森林科学園)
*Nobuko MORIHIRO(Tama Forest Science Garden)

過去の植生調査のデータを用いて、植物種ごとのWI傾度に沿った分布を、見直してみた。データは日本植生誌関東編の付表から読み取り、エクセルに書き込み、群落から切り離して種別に扱えるようにした。使ったデータは森林のもののみとし、ヤブツバキクラスからトウヒクラスまでの自然林と二次林に分類された調査区のものを用いた。プロットはそれぞれ調査面積が異なり、記述の仕方も異なるので、同じようには扱えない。全体を総合的に扱うために、プロット内の量的関係を被度で表現されたものだけを用い、常在度で記されたものは用いなかったが、調査面積の異なるもの、面積が記載されていないものは含めた。標高が記載されていないものはWIが評価できないので含めない。その結果、355のプロットを利用できた。WIの計算は都県ごとの気象台のデータから標高で補正した値を用いた(気温逓減率0.6℃/100m)
 種ごとにWI階層別に出現頻度を比較すると、ヤブツバキクラスで高木層に優占する種では、スダジイ、アカガシ、ウラジロガシ、シラカシ、アラカシが対象にできる。このうちスダジイはWI80度・月以上のプロットにだけ出現するが、カシ類はより寒冷なところまで分布し、かつ下層(亜高木層以下を一括して下層として扱う)では、高木層より寒冷な地域まで分布が伸びる傾向があった。高木層だけで比較すると、アカガシとウラジロガシの出現のモードが異なり、ウラジロガシがWI80~90度・月クラスにピークがあるのに対し、アカガシはウラジロガシの分布のピークでは少なく、より温暖な場所に分布のピークがあり、さらにより寒冷な場所にも小さなピークがあって、ウラジロガシと相補的な関係があるように見えた。下層を含めても同じ傾向は見えるが、より不明瞭になる。
 ヤブツバキクラス域は人為的影響の強い地域であり、単純な比較はできないが、それでも植物間の相互関係を推測する手がかりは得られるだろう。


日本生態学会