| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-097 (Poster presentation)
温暖化に伴う気温上昇により、植物の開花期が変動していることが世界各地で報告されている。しかし、その影響の現れ方は植物種によって大きく異なり、春咲き種では開花の早期化がみられる一方で、秋咲き種では開花が晩期化する例も知られている。このように、気温上昇に対する開花応答には種間差が大きいにもかかわらず、日本の在来植物を対象とした長期的かつ包括的な解析は十分に行われていない。そこで本研究では、日本在来植物の開花期が近年の気候変動からどのような影響を受けているかを明らかにすることを目的として、筑波実験植物園において2003~2024年の22年間にわたり記録された開花モニタリングデータを用い、日本在来380分類群の開花開始日について解析を行った。具体的には、①過去22年間における開花開始日の変化、②開花開始日に対する気温・雨量・日長の影響を検討した。①では、調査期間を前半10年間と後半10年間に分け、平均開花開始日を比較した。その結果、後半10年間において開花が1週間以上早まっていた分類群は105分類群、遅くなっていた分類群は57分類群であった。②では、開花開始日を目的変数、気温・雨量・日長を説明変数としたロジスティック回帰分析を行い、AICに基づくモデル選択を実施した。その結果、3要因すべてを含むモデルが選択された分類群は340、2要因は28、1要因は12であった。また、気温上昇に伴い開花が早まる傾向を示した分類群は241であった一方、気温上昇により開花が遅れる傾向を示した分類群も100確認された。以上の結果から、日本在来植物の開花期変動は一様に気温上昇によって説明されるわけではなく、降水や日長など複数の環境要因が関与しつつ、種ごとに異なる応答を示すことが示唆された。