| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-101  (Poster presentation)

広域分布種ツリガネニンジンにおける島嶼と本土での昼夜の訪花昆虫の繁殖成功の比較
Comparison of Reproductive Success in Diurnal and Nocturnal Pollinators on the Islands and the Mainland in Adenophora triphylla  (Campanulaceae)

*岡崎純子(大阪教育大学), 長谷川匡弘(大阪自然史), 阿部晴恵(新潟大学), 水澤玲子(福島大学), 木下桂(京都大学), 川西遙(大阪教育大学), 冨岡優衣(大阪教育大学), 大川紗樹子(大阪教育大学)
*Junko OKAZAKI(Osaka Kyoiku Univ.), Masahiro HASEGAWA(Osaka Mus. Nat. His.), Harue ABE(Niigata Univ.), Reiko MIZUSAWA(Fukushima Univ.), Kei KINOSHITA(Kyoto Univ.), Haruka KAWANISHI(Osaka Kyoiku Univ.), Yui TOMIOKA(Osaka Kyoiku Univ.), Sakiko OKAWA(Osaka Kyoiku Univ.)

離島環境では,種子分散が限定的であるだけでなく花粉分散を担う訪花昆虫もまた制限される。そのため交配様式の分化がみられる植物の研究が多くされてきた。特に伊豆諸島は本土に比較的近いにも関わらず本土と陸続きになったことのない海洋島であり,固有分類群や固有種において自殖性の進化が引き起こされている植物の報告がされてきた。キキョウ科ツリガネニンジンは日本列島に様々な環境ⅱ生育する広域分布種で伊豆諸島では三宅島・御蔵島まで分布する。本植物は本土や伊豆諸島の複数の島では夜間に蜜分泌行い主として夜間の鱗翅目を利用しているが,三宅島では昼閒に蜜を分泌し昼間の膜翅目を利用している。ただし、完全に夜の訪花昆虫へシフトしているわけではなく繁殖保証として夜行性昆虫を利用している可能性があり,送粉生態型の形成が現在進行中の集団と考えられる。本土と島嶼でのこの昼行性と夜行性昆虫の繁殖成功の違いを比較することによりこの集団での送粉生態型分化の過程を明らにすることを目的とした。そのために本研究では,伊豆半島の東伊豆町,神津島,三宅島を調査地とし,昼夜の訪花昆虫の繁殖への貢献度の違いを,昼夜の袋がけ実験を行い明らかにした。また同時に東伊豆町と三宅島では交配実験を行い,自家和合性について地域差があるのかの調査も行った。その結果,伊豆半島,三宅島ともに弱い自家不和合性をもち,島嶼で自家和合性が高くなるという傾向は認められなかった。昼夜の訪花昆虫による種子生産は夜間蜜分泌を行う伊豆半島東伊豆町集団・神津島集団では昼夜でその差異がなく繁殖保証として昼間の訪花昆虫を利用していることが明らかになった。一方昼間蜜分泌を行う三宅島集団では夜間より昼間の訪花昆虫による種子生産が高く,このような訪花昆虫シフトに昼夜の訪花昆虫の訪花効率が関与していることが示唆された。


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