| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-115 (Poster presentation)
植物の生存戦略には成長と生存のトレードオフが存在し、資源獲得的な戦略から資源保守的な戦略への勾配で表される。資源獲得的な種ほどSLA(葉面積/葉重)や乾重あたり光合成速度(Amass)が高く、こうした葉形質の共変動は葉の経済スペクトラムとして知られる。一方、根形質の変異は資源獲得-保守の勾配を示す根の経済スペクトラムと、栄養獲得の菌根菌への依存度を表す協働勾配の2軸で説明されることが近年明らかになった。前者は根の窒素濃度や組織密度、後者はSRL(根長/根重)や根平均直径によって代表される。これら根形質は栄養獲得と密接に関わる重要な形質だが、栄養獲得の生理活性を直接測定した先行研究は少なく、葉の経済スペクトラムや根の形質空間とどのように関連するのか不明な点が多い。そこで本研究では、植物の窒素獲得に重要な生理学的形質として硝酸同化活性と吸収活性を測定し、他の根形質や葉形質との関係を調べた。
窒素吸収・同化に関する酵素の発現は窒素供給に素早く応答するため、変動が大きい。本研究では、水耕栽培の連続培養によって窒素濃度を一定条件に保つことでこの問題を克服した。草本と木本各4種を栽培し、収穫後、基礎的な葉・根形質、Jaworski法による葉と根の硝酸同化活性、15Nを用いて得た硝酸の最大吸収速度とミカエリス定数(親和性)を解析した。
主成分分析の結果、根および葉の硝酸同化活性はSLA、Amass、根窒素濃度、根組織密度とともに1軸に収斂し、SLAやAmassが大きい種ほど根と葉の同化活性が高かった。一方、硝酸吸収の最大速度および親和性は2軸と有意に相関した。この2軸はSRLや根平均直径と関連しており、協働勾配を表していた。硝酸同化活性は経済スペクトラムと対応し、資源獲得的な種ほど活性が高い一方で、硝酸吸収活性は経済スペクトラムとは独立した変異を示すことが明らかになった。