| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-119 (Poster presentation)
樹木は、風荷重や自重などの外力に対して倒伏しないよう、土壌中に発達した根系によって力学的に支持されている。なかでも粗根は、樹木を土壌に固定する主要な構造要素である。粗根は一般に、成長方向に基づき水平根、垂直根、斜出根などに分類され、これらの根の構成によって個体の根系型が特徴づけられる。一方で、根系型の分類指標に用いられてきたのは主に根の「成長方向」という形態的特徴であり、粗根の材質的・力学的特性が方向によって異なるかどうかについては、明らかになっておらず、根の方向性と力学特性の関係性は不明な点が多い。また、根材の力学的特性を理解するうえで有用な比較対象である幹材については多くのデータが蓄積されているものの、粗根と幹材を同条件下で評価した例は限られている。樹木の倒伏メカニズムの解明を考える上でも、粗根の方向別の力学特性を明らかにすることは重要である。そこで本研究では、成長方向の異なる粗根(垂直根・水平根・斜出根)および幹を対象に、材の力学特性を比較・評価することを目的とした。本研究では、それぞれのタイプの粗根と幹の力学的特徴を評価した。対象樹種は、垂直根と水平根を持つ、クロマツ(8年生)と斜出根を持つ、スギ(10年生)とした。それぞれ2個体から垂直根(3本)、水平根(5本)、斜出根(2本)に加えて幹(高さ約50-80 cm)から、5 mm×5 mm×80 mmの試験片を切り出し、試験機を用いて3点曲げ試験を実施した。曲げ試験からは、弾性率と強度を算出した。試験終了後、試験片を全乾させ、全乾密度を求めた。その結果、クロマツでは、幹に比べて、垂直根及び水平根の弾性率、曲げ強度が大きかったが、密度は有意な差はなかった。一方で、スギでは、幹に比べ、根の弾性率のみ大きい値を示し、曲げ強度及び密度は有意な差はなく、それぞれの樹種において幹材と根材の力学特性が異なることが示唆された。