| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-121 (Poster presentation)
樹木は常に風などの外力にさらされながら成長している。このような外力による力学的なストレスは樹木の幹の肥大成長を促進し樹高成長を抑制させることが知られているが、幹に作用した荷重によって発生する、幹の各部の応力と成長量の対応が調べられた例はほぼない。また、野外条件下では台風や冠雪により幹に大きな荷重が作用し、幹の曲げ強度に匹敵するような応力が発生することがある。このような過大な力学的ストレスを受けた幹がどのような成長の経過をたどるかは樹木の生存・成長や形態形成を知る上で重要であるが、ほとんど知見がない。そこで、約10年生のスギの幹に人為的に負荷をかけて幹の高さ別の成長や応力、弾性係数の変化を計測した。測定対象木は6個体で、直径成長の推移を調べるために地上高50cmにデンドロメーターを設置した。また、50cmごとに樹高3mまでの直径を4月と7月(荷重負荷後)、翌2月に計測した。荷重負荷試験は4個体に対して6月に2度実施した。幹にはひずみゲージを設置し、ロードセルで荷重を記録しながら滑車を利用して人力で引っ張った。スギ稚樹生材の曲げ強度が40MPa前後であるのに対し、今回の試験で作用した最大応力は個体によって約19MPa~31 MPaと推定された。地上50cmの肥大成長パターンは、荷重負荷を与えた4個体とコントロールの2個体で明らかに異なり、負荷を与えた個体では直後には成長が鈍化したものの、1回目の負荷から1カ月経過する頃には顕著に成長率が増加した。また、コントール個体の成長が鈍化する8月後半ごろになっても直線的な肥大成長が続いた。発表では、かけた荷重の大きさによる成長パターンの違いおよび幹の高さごとの肥大成長や曲げ弾性係数についても紹介する。