| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-125  (Poster presentation)

ヒユ科植物の光合成型の違いは葉の水理特性に影響するか?
Do different photosynthetic types of Amaranthaceae plants affect leaf hydraulic properties?

*久保田滋裕(九州大学)
*Shigehiro KUBOTA(Kyushu University)

植物は、光合成に必要な炭素獲得のために気孔を開き、毎日数L~数十Lの水を蒸散により失う。そこで、導管や柔組織などで構成される通水システムを構築し、気孔コンダクタンスを高く維持できるように葉の蒸散面へ水を供給している。そのため、植物体の水理特性は、多くの生態系で植物のガス交換特性と密接に関連することが知られている。こうした研究の多くはC3植物を対象としており、C4植物でも同様の調節が見られるかは明らかになっていない。そこで、本研究では、C4植物を対象に葉のガス交換特性と植物体の水理特性の関係を調べた。C4植物はCO2の濃縮機構を有するため、C3植物と同程度の気孔コンダクタンスでより高い光合成速度を実現できる。そのため、C4植物はC3植物と比較して小さい葉の通水コンダクタンスを示すという仮説を立てた。
本研究では、畑地雑草を多く含むヒユ科(Amaranthaceae Family)9属を対象に、植物体の水理特性と葉のガス交換特性に関する文献調査を実施した。データソースはScopusとし、2026年2月に、”属名 AND photosynthesis OR hydraulic” を検索語とした。調査対象形質は、光合成速度、気孔コンダクタンス、水利用効率、日中の葉の水ポテンシャル、葉の膨圧損失点、葉・茎・根の通水コンダクタンス、葉面積あたりの葉重、気孔密度、葉脈密度、葉の窒素含量、クロロフィル含量とした。
先行研究と一致して、C4植物は、C3植物と比較して高い水利用効率と窒素利用効率を示した。また、C4植物の葉および茎の通水コンダクタンスはC3植物と比較して小さい値を示した。しかし、C4植物の気孔コンダクタンスと葉の通水コンダクタンスの間に有意な相関関係は確認されなかった。日本で頻繁にみられる雑草種(Amaranthus blitumA. retroflexusなど)の水理機能形質はほとんど計測されていなかったため、今後は実際の畑地に生育する植物をサンプリングし実験を実施する予定である。


日本生態学会