| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-144 (Poster presentation)
森林生態系では多様な生物の間で動植物相互作用が見られ、中でも樹木の葉とそれをめぐる植食者の関係は重要である。現在進行している地球温暖化が樹木と植食者の関係に与える影響を明らかにすることは、今後の生態系の変化を予測するうえで不可欠である。本研究では、愛知県豊田市の暖温帯二次林において多様な樹種の葉を摂食するジェネラリスト植食者クワゴマダラヒトリの幼虫を対象として、食性と個体の成長の温暖化応答を調べた。2024年と2025年の春に調査地において樹木の葉を摂食していたクワゴマダラヒトリ幼虫の個体数を定期的に記録するとともに、一部の個体の体重を測定した。また、2024年秋に調査地で採取したクワゴマダラヒトリ幼虫を人工気象器で育て、春の温度変化に対する成長パターンを記録した。
この結果、クワゴマダラヒトリ幼虫は野外では3月に活動を始め4月下旬から5月中旬に急速に成長した。また、4月中旬までは落葉樹の葉を摂食しており、その後常緑樹の葉を摂食していた。実験によると、平年の気温上昇を経験した個体と温度上昇を早めた個体で成長速度の差は少なかった。以上の結果をもとに、ジェネラリスト植食者であるクワゴマダラヒトリ幼虫の成長について、樹木の展葉の温暖化応答と関連付けて考察する。