| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-146  (Poster presentation)

クワズイモから送粉者のタロイモショウジョウバエ2種に提供される報酬物質の探索
Exploration of reward compounds provided by Alocasia odora inflorescences to its pollinators: two species of Colocasiomyia flies

森信之介(慶應大・理工), 高野(竹中)宏平(長野県環保研), 岩崎公典(琉大・熱生研), 髙濵謙太朗(名古屋大・全技セ), 小川直也(名古屋大・全技セ), 佐藤柊介(北大・院・理), 硲間太雅(北大・院・理), *三宅崇(岐阜大・教育)
Shinnosuke MORI(Keio Univ. Sci.&Tech.), Kohei TAKENAKA TAKANO(Nagano Env Cons Res Inst), Hironori IWASAKI(Univ. Ryukyus, TBRC), Kentaro TAKAHAMA(Nagoya Univ. Tech. Ctr.), Naoya OGAWA(Nagoya Univ. Tech. Ctr.), Shusuke SATO(Hokkaido Univ. Sci.), Taiga HAZAMA(Hokkaido Univ. Sci.), *Takashi MIYAKE(Gifu University)

クワズイモショウジョウバエ(Colocasiomyia alocasiae)とニセクワズイモショウジョウバエ(C. xenalocasiae)は、宿主植物のクワズイモ(Alocasia odora)の花序(果序)で採餌・交尾・産卵・幼虫の発育を行う。一方、両種のハエはクワズイモの主要な送粉者でもあり、緊密な共生関係を築いている。これらのハエは、クワズイモの花序以外で観察されることがほとんど無いことから、生涯の大半を花の上で過ごし、食餌もクワズイモに強く依存していると考えられる。前回大会までには、クワズイモの中性花が糖とアミノ酸類を含む花蜜を分泌しており、ハエの採餌対象となっていることを報告した。しかし、昆虫の繁殖や発育に不可欠なタンパク質や脂質の供給源については未解明であった。
 著者らは、ハエが雄花の表面を削り取るようにして採餌する行動を発見していた。今回、雄花の表面を紙片で拭き取り、飢餓状態のハエに与えたところ、紙片からの採餌行動が確認された。次に、採餌対象について植物組織学的な由来を探った。その結果、葯内の特定の細胞が崩壊し、その内容物が、雄花表面へと露出・供給されるプロセスが明らかとなった。さらに、雄花表面の抽出物を用いたメタボローム解析によって、当該組織に由来すると推定される成分を化学的に同定した。本発表では、葯の組織崩壊を伴う資源供給プロセスと、それによってもたらされる「未知のタイプの報酬」の化学的実体について報告する。


日本生態学会