| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-153  (Poster presentation)

都市公園に生息するトノサマガエルの行動追跡
Tracking the behavior of Pelophylax nigromaculatus inhabiting in urban parks

*秋田耕佑(大阪市環科研セ), 戸金大(慶應大学・生物学教室)
*Kohsuke AKITA(Osaka City RCES), Dai TOGANE(Dep. of Biology, Keio Univ.)

 かつて大阪市内に生息していたトノサマガエルの在来集団はすでに絶滅状態にあり、現在、市内で見られる集団は他地域からの移入に由来すると考えられている。大阪市東部に位置する鶴見緑地は1972年に開園した広域公園で、同公園内に整備された水田やため池には由来が不明なトノサマガエルが生息しており、複数年にわたり繁殖も確認されている。繁殖場所となる水域は水路を介して公園外の水域にも接続していることから、自力での移動分散により分布域を拡大するおそれがあるが、本種の都市公園における移動分散能力に関する知見は乏しい。本研究では、鶴見緑地内に生息するトノサマガエルを対象に、ラジオテレメトリー法を用いて移動距離や方向性を調査し、その分散リスクを評価することを目的とした。
 調査は2025年5月と6〜7月の2期間に、鶴見緑地内の自然体験観察園で捕獲したメス成体8個体に電波発信機を装着して実施した。各個体を捕獲地点であるため池や水田、蓮田に放逐し、電波を頼りに移動履歴を追跡した。その結果、7個体は放逐地点から半径20m以内の範囲でのみ確認され、観察園内の水辺の近傍に留まった。一方、8個体中1個体は放逐した水辺から離れ、アスファルトで舗装された幅員約5mの歩道を横断し、観察園外への移動が確認された。各個体の追跡期間は4-13日間で、最も長い距離を移動した個体は観察園外へと移動した個体で、7日間で41m(5.9m/days)を移動した。これらの結果から、トノサマガエルのメス成体は水辺に留まる傾向にあるものの、低頻度ではあるが水辺から離れて移動分散することが示唆された。なお、本調査で追跡した8個体のうち4個体は死亡した状態で確認され、いずれも体の一部が欠損していた。個体の欠損状況から哺乳類による捕食が疑われ、都市公園における高い捕食圧が本種の分散を制限している可能性が示唆された。


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