| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-163 (Poster presentation)
種の共存や多様性の維持に関わる種間競争は生態学の主要テーマである。ニッチが重複する2種間では、空間や食物を巡る競争が成長や生存に影響することが数多く報告されてきた。しかし、3種以上が同所的に存在しても2種間の関係が不変であるとは限らない 。近年の数理生態学分野において、第3種の存在によって2種間の関係が変化する高次の生物間相互作用(higher-order interactions: HOIs)が生じ、種多様性に影響しうることが示された。一方で、実際に生物を用いたHOIsの検証は限られており、脊椎動物を用いた実証研究となるとさらに限定的である。本研究では、空間や食物を巡る競争が生じることが知られる河川性サケ科魚類3種(オショロコマ Salvelinus curilus、イワナ S. leucomaenis、ヤマメ Oncorhynchus masou)を用い、HOIsが個体の成長に与える影響を検証した。特にオショロコマ—イワナ間の関係がヤマメの存在で変化するかに着目した。北海道斜里川水系ペーメン川にエンクロージャーを64基設置し、単独区(オショロコマまたはイワナ)、2種混生区(オショロコマ+イワナ)、3種混生区(オショロコマ+イワナ+ヤマメ)を設定した。20日間の実験期間における各個体の体重の変化から瞬間成長率を計算した。既往研究から、2種混生時には、オショロコマはイワナとの競争で劣位になりやすく、成長が抑制される。一方、ヤマメはイワナに対して優位になりやすいことが知られている。そこで、ヤマメの存在がオショロコマ—イワナ間の競争を緩和すると予測し、3種混生下では(1)オショロコマの成長率が2種混生下より高まる、(2)イワナの成長率が2種混生下より低くなる、と仮説を立てた。その結果、オショロコマの成長率が3種混生下でわずかに高くなる傾向を示した。一方、イワナの成長率は、3種混生下において低くなる傾向がみられた。これらの対照的な反応は、第3種(ヤマメ)の存在によって、オショロコマ—イワナ間の競争関係が変化するHOIsの存在を示唆する。