| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-164 (Poster presentation)
地理的に隔離された島嶼環境では、遺伝子流動の制限や集団サイズの変動に伴う遺伝的浮動などの影響により、大陸や大陸島とは異なる遺伝的分化が生じやすい。本研究は、島嶼環境における遺伝構造の空間的パターンとその形成要因を明らかにし、遺伝的多様性の形成および維持機構を理解することを目的とする。
カブトムシ(Trypoxylus dichotomus)は北海道、本州、四国、九州、南西諸島にかけて広く分布し、島嶼部にも多数の個体群を形成している。本種は形態的差異が小さい一方で、地域ごとに遺伝的分化が生じている可能性が示唆されている。
本研究では、日本国内の島嶼集団を中心に採集した個体を対象に、MIG-seq法によるゲノムワイドSNP解析を実施した。得られたSNPデータに基づき、島嶼間ならびに本土集団との遺伝的関係性と集団遺伝構造について検討した。さらに、各採集地点を中心に一定半径のバッファを設定し、バッファ内の森林面積および人工改変地面積を算出した。加えて、島嶼集団では島面積や地理的隔離度などの地理的指標も考慮し、個体ごとに算出したヘテロ接合度観察値を応答変数、景観・地理条件を説明変数とする一般化線形混合モデルを構築した。これにより、景観要因および地理条件が遺伝的多様性とどのように関連するかを統計的に評価した。
本発表では、解析の進捗を報告するとともに、島嶼環境における遺伝構造形成の理解に向けた展望について議論する。