| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-185 (Poster presentation)
都市化が急激に進行する現代で、野生生物と人間との相互作用を理解することは都市生態学において急務になっており、なかでも鳥類との関係については多くの知見が得られている。しかしながら、これら既存研究の多くは土地被覆に着目した広域スケールでの解析が中心であり、都市中心部における局所的な環境要因の影響は十分に検討されてこなかった。そこで本研究では、岡山県都市部のコサギ(Egretta garzetta)に着目して、都市部で顕在化しやすい局所的環境要因(騒音・建物高)が塒選好性に与える影響を定量的に評価した。騒音は、一般的に鳥類にとってストレス要因であり、コミュニケーションの阻害や繁殖成功率の低下を引き起こす可能性がある。また天敵の接近が制限される地形条件は、鳥類の生存に重要な意味を持つとされている。塒地点と土地被覆構成が類似したペアサイトを設定し、騒音および地形に関する指標を説明変数として条件付きロジスティック回帰分析を用いて比較した。その結果、騒音指標はいずれも有意な関係を示さなかった。一方、地形指標では相対的低地帯割合(水域周辺の低地構造)が有意な正の効果を示し、高さの不均一性(空間構造の複雑さ)についてもやや正の傾向が認められた。これらの結果は、都市環境におけるコサギの塒選択が、騒音よりも局所的な地形構造、特に捕食者の接近が制限される空間的特徴と関連している可能性を示唆する。