| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-187 (Poster presentation)
河川生態系の長期的な変化を把握することは、現在の生物群集の状態を適切に理解する上で重要である。しかしながら、過去の生物データは限られており、長期的な経時変化の評価は容易ではない。本研究では、河川底生動物の主に科レベルの出現状況に基づく指標である平均スコア(Average Score Per Taxon:ASPT)に着目し、水質や土地利用等の環境要因から平均スコアを推定する重回帰モデル(Iwasaki et al. 2024)を用いて、栃木県内河川の環境基準点における1971年以降の経時変化を可視化することを目的とした。なお、平均スコアは、底生動物群集の種数や個体数とも相関することが報告されている(Iwasaki et al. 2024)。生物化学的酸素要求量や浮遊物質量などの水質データは1971年以降の公共用水域での水質測定結果、土地利用割合の推定には国土交通省の国土数値情報を用いた。その結果、環境基準点58箇所全体として、平均スコアは過去から現在にかけて増加傾向であることが推定された。例えば、平均スコアの値から「とても良好」と判断される地点が1970~80年代は10%程度であったのに対し、2020年代頃には50%以上であり、河川底生動物相がこの期間に大きく回復してきたことが示唆された。発表では、2008年以降実施されている採集調査結果に基づく平均スコアとの比較も行い、本結果の解釈についてさらなる議論を行う。
Iwasaki Y, Suemori T, Kobayashi Y (2024) Predicting macroinvertebrate average score per taxon (ASPT) at water quality monitoring sites in Japanese rivers. Environmental Science and Pollution Research 31:28538-28548. https://doi.org/10.1007/s11356-024-33053-y