| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-189  (Poster presentation)

住宅地に隣接する森林生態系における哺乳類・鳥類相:善気山の社寺林の事例
Mammal and Bird Fauna in Forest Ecosystems Adjacent to Residential Areas: The Case Study of the Temple Forest at Zenkisan

*金原弘武(多摩動物公園), 土井優子(多摩動物公園), 三家詩織(京都市動物園 CREW), 山梨裕美(京都市動物園 CREW, 京都大学 WRC), 久山喜久雄(FieldSociety)
*Hiromu KIMPARA(Tama Zoological Park), Yuko DOI(Tama Zoological Park), Shiori MITSUYA(CREW, Kyoto City Zoo), Yumi YAMANASHI(CREW, Kyoto City Zoo, WRC, Kyoto Univ.), Kikuo HISAYAMA(FieldSociety)

社寺林は、神社や寺院が所有・管理する森林で、多様な樹種が存在するため、野生生物の貴重な生息場所となっている。また、社寺林が山麓にある場合、人の生活圏と野生動物の生息地との緩衝地帯の役割も担う可能性がある。人の生活圏に近い場所では、野生動物の活動は人の活動の影響を受けると考えられるが、社寺林における調査は少ない。本研究は京都・大文字山山域に位置する善気山において、哺乳類・鳥類相を調査し、特に哺乳類では人の活動圏との関係を考察することで森林生態系の維持管理・保全に資する知見を得ることを目的に実施した。調査は2021年7月28日~2025年12月31日に行われた。動物の資源としての水場に着目し、動物の利用可能性がある水場のうち、登山道から逸れた人の侵入の少ない「上の水場」、人の活動圏に近い「下の水場」、寺院内で人の活動圏内にある「池」の3か所に計5台の自動撮影カメラを設置した。有効撮影数は8483回であった。結果、調査期間中に哺乳類13種、鳥類43種が確認できた。その中には京都府レッドリストにおいて絶滅危惧種とされるミゾゴイやマミジロも含まれており、善気山の社寺林が多様な野生動物の生息地として機能していることが推察された。撮影時刻から推定された活動パターンは、リス類で昼行性、ニホンアナグマ、アライグマ、ニホンイノシシ、ホンドギツネ、ホンドタヌキ、ホンドテン及びハクビシンで夜行性であった。シカは上の水場では、昼夜問わず活動していたが、下の水場と池では、夜間の活動が多く確認された。このことから、本来、昼行性のシカやイノシシ、周日行性のテンは、人の活動圏に近い場所において、活動時間を夜間へ変化させていることが示唆された。またアナグマ、アライグマ及びハクビシンは上の水場より池で、タヌキは上の水場より下の水場で撮影頻度が高かったことから、これらの種は人の活動圏を積極的に利用している可能性が考えられた。


日本生態学会