| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-191 (Poster presentation)
動物の体サイズは、代謝速度等の生理学的特性や生物間・分類群間相互作用を介して多くの生態学的プロセスに重要な役割を果たす形質である。様々な動物群において体サイズ分布が餌資源やハビタット環境の影響を受けることは知られているが、分解プロセスを担う土壌動物の体サイズの決定要因として、土壌動物の食物でもありハビタットでもある落葉リターの形質を包括的に検討した研究例はほとんどない。
本研究では、16樹種のリターを対象に、食物特性としてPlant Economics Spectrum(PES)に関連する形質群とハビタット特性としてSize and Shape Spectrum(SSS)に関連する形質群を測定し、それらが大型土壌動物の体サイズ分布に与える影響を検討した。野外森林林床において新規落葉を用いたリター培養実験を行い、設置7週間後に回収したリターと大型土壌動物1646個体を対象にリター形質と体長を測定した。分解7週間後のリター形質の変異を要約したPCA第一軸(PC1)は、リターの面積、体積、丸まり度などのSSS形質とPES形質であるリグニン濃度に規定され、PCA第二軸(PC2)はSSS形質である葉柄幅とPES形質であるSLA(比葉面積)やLDMC(葉乾物重量)に規定されていた。
PC1は大型土壌動物群集全体の平均体長の変動を有意に説明し、リターのサイズが大きくリグニン濃度が低いほど平均体長が大きくなる傾向がみられた。同様の傾向はクモ目およびワラジムシ目においてもみられ、クモではリター面積やリター空隙率が、ワラジムシではリグニン濃度やリター含水率が比較的強く関連していた。しかし、大型土壌動物の平均体長と各形質の相関関係について分類群内サイズ変化と分類群間ターンオーバーの寄与を分解したところ、リター面積や空隙率、含水率などのハビタットに関連する項目については分類群間ターンオーバーによってより説明される傾向が示された。一方、CN比やリン濃度などのPES形質と平均体長の相関関係は分類群内のサイズ変化によってより強く駆動されていた。