| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-192 (Poster presentation)
大阪湾は瀬戸内海の最東部に位置する閉鎖性内湾である.1950~1970年代にかけて湾奥部を中心に大規模な埋め立てが行われたが,近年では自然再生を目的とした人工干潟の造成事業もいくつかのエリアで行われている.湾口に近い大阪湾南部には半自然海岸が残り,ヨシ原を有する河口干潟やアマモ場を有する前浜干潟も分布している.本研究では,大阪湾内の13カ所の干潟で底生動物(ベントス)の定量調査と環境測定を行い,群集構造をハビタットのタイプ別に類別化するとともに環境要因との関係を解析した.
大阪湾奥部の生田川,御前浜,甲子園浜(以上兵庫県),矢倉緑地,大和川,堺浜(以上大阪府),大阪湾中南部の阪南2区,近木川・二色の浜,樫井川,男里川,波有手海岸,深日・落合川,四国最大の河口干潟である愛媛県西条市加茂川の計13サイトで2024年と2025年の4~8月に現地調査を行った.サイト内に複数設定した調査ポイントで,大潮干潮時にφ15 cmコアにより深さ20 cmまでの底土を3回採取し,1 mm目で篩い,篩上のベントスを同定・計数した.コア周辺で塩分,底質の酸化還元電位を測定するとともに底土を採取し,シルト・クレイ含量,中央粒径,全有機炭素TOCおよび全窒素TN含量を求めた.
大阪湾南部のサイトでは種数(タクサ数)が多く,湾奥部と比較すると生息密度は低かった(例:波有手海岸84種6301 ind/m2,男里川62種4757 ind/ m2など).一方,湾奥部のサイトでは種数が少なく生息密度が高い傾向にあった(例:甲子園浜11種14023 ind/m2,矢倉緑地14種17882 ind/m2など).本講演では,ベントスの個体数データと環境要因を用いた多変量解析を行い,大阪湾沿岸の干潟域で見られたベントス群集構造の空間的パターンについて,ハビタットタイプと環境特性に基づいた類型化を試みた.