| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-194 (Poster presentation)
近年、放置された竹林が周辺の自然植生に広がることにより、生物多様性に影響を及ぼす事例が報告されている。一方で、タケ侵入する境界面で土壌動物群集の変化がどのようにおこり、その変化はどのような環境要因と関連しているのかは明らかにされていない。本研究の目的は、広葉樹二次林にまさにタケが侵入している境界面において、タケの影響の大きさに伴う、ダニ類を含む土壌中型土壌動物群集の構造の変化を明らかにすることである。
京都府京田辺市の広葉樹二次林とモウソウチク林が隣接する斜面において、40m×20mのプロットを設定し、5m四方の32個のサブプロットに区切った。各サブプロットの樹木、タケの種ごとの胸高断面積合計を求めて植生の環境要因とした。サブプロットの中心部で、土壌コア(25cm2×5cm)を用いて有機物層、土壌(深さ5cm)を採取し、ツルグレン装置で土壌中型土壌動物を抽出した。リター層の含水率、堆積リター量などを計測し土壌環境要因とした。
冗長分析(RDA)を用いて、ダニ類の大まかな分類群ごとの個体数(トゲダニ目、ケダニ亜目、ササラダニ亜目)にトビムシ目の個体数を含めた群集の組成に対し、空間要因と植生・土壌環境要因を用いて変動分割を行ったところ、空間要因とともにタケの胸高断面積合計がトビムシとダニ類の組成の変動を説明していることがわかった。このうち、ケダニ類はタケの胸高断面積合計が大きくなるほど個体数が増加する傾向があるのに対し、トビムシの個体数は減少する傾向を示した。また、同様にササラダニ亜目の種組成をRDAを用いて解析したところ、空間変数を含めた上でもタケの胸高断面積がササラダニ群集の組成を説明する要因として選択されることがわかった。以上から、広葉樹林へのタケの侵入はダニ類を含めた中型土壌動物群集の構造に影響を与えているが、その影響の受け方は分類群ごとに異なる事がわかった。