| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-197  (Poster presentation)

草原管理がトビムシ・ササラダニ群集構造に与える影響
Grassland management influences Collembola and Oribatida communy structure

*菱拓雄(福岡大学), 小山明日香(森林総合研究所), 内田圭(東京都市大学), 兵藤不二夫(岡山大学)
*Takuo HISHI(Fukuoka Univ.), Asuka KOYAMA(FFPRI), Kei UCHIDA(Tokyo City Univ.), Fujio HYODO(Okayama Univ.)

生態戦略は、群集の撹乱条件に影響する。土壌菌食性動物であるトビムシとササラダニは、それぞれ移動性と繁殖力の高いr戦略、移動性が低く、ストレス耐性が高いK戦略的な性質をもつといわれているため、撹乱への応答が異なると考えられる。本研究では伊豆諸島の火入れ、刈取り、放棄といった草原管理を対象に、生活史戦略の異なるトビムシ、ササラダニ群集の分類学的、機能的な構造の反応を明らかにすることを目的とした。
調査地として、伊豆半島において火入れ、刈取り、放棄草地の3種類いずれかの管理法が用いられた23地点を対照とした。土壌サンプルは実験室まで3日以内に冷蔵輸送し、ツルグレン装置で一週間抽出した。抽出した動物からトビムシとササラダニ成体をそれぞれ形態で種まで分類し、サンプルあたりの個体数を数えた。種の機能形質として、種ごとの体長を文献に従って決定し、群集加重平均を計算した。トビムシ、ササラダニ群集の種と機能形質それぞれについて、ルキツカの群集距離を計算した。
トビムシでは放棄草地と比較して、管理地(火入れ、刈取り)で種数、個体密度、体サイズが有意に低下した。対照的に、ササラダニではこれらの値に有意な違いは見られなかった。しかし機能的多様性は両群集とも管理草地で有意に低下した。また、群集内の不安定性(重心からのばらつき)を評価したところ、トビムシには有意な差がなかった一方、ササラダニ群集では管理草地で放棄地よりも有意に増大していた。これらのことはトビムシ群集が撹乱に対して大型種を失う方向性のある環境フィルタの影響を受けている一方、ササラダニ群集は個体数や種数は維持しつつ、個々のパッチの組成がランダムに変動する浮動や断片化が進行していることが示唆された。これは、生活史戦略の違いが、撹乱に対する群集の崩壊プロセスの違いとして現れたものと考えられる。


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