| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-210 (Poster presentation)
樹木の展葉は、葉を生じることで樹木自身の光合成による資源獲得に影響を与えるとともに、葉の光合成を通じたガス交換は大気にも大きな影響を与える重要な形質である。そのため、多くの温帯樹木で展葉についての研究が行われ、春の展葉時期は同一種であっても地域集団ごとに異なることが明らかにされてきた。この集団間の春の展葉時期の違いは、それぞれの集団の環境に適応した結果であると考えられ、その遺伝基盤を明らかにする取り組みが多くの温帯樹木で行われてきた。一方で、樹木の中にはコナラ属樹木のように春だけでなく、夏から秋にかけて複数回展葉する種も存在するが、これらの春以外に起こる展葉の時期や回数に地域集団間の違いが存在するのか、また存在するのであればどのような遺伝基盤によるものであるのかについては、よくわかっていない。そこで本研究では、コナラの堅果を岩手、京都、蒜山、岡山、福岡の5集団から採取し、当年生実生の展葉時期と回数を比較した。その結果、異なる集団間で展葉した個体数の増加が同じようなタイミングで観察された一方で、展葉回数は北の集団ほど少なくなることがわかった。そこで次に、集団間の展葉回数の違いを生じる遺伝基盤を明らかにするため、コナラ集団間のゲノム配列を比較し、展葉回数が多い集団と少ない集団の間で特に配列の異なる領域を単離した。この中から、初夏の芽と春の展葉時の芽の間で発現が変化した展葉制御に関与する遺伝子と比較することで、集団間の展葉回数の違いを生じている遺伝子領域の候補を絞り込んだ。本発表では、これらの得られた候補遺伝子の機能と展葉回数の制御について議論したい。